●限定正社員とは?限定正社員制度のメリット・デメリット

限定正社員とは?限定正社員制度のメリット・デメリット

アベノミクスにおける経済成長戦略の1つとして、「限定正社員制度」がスタートしました。限定正社員制度導入により、「多様な働き方ができる」「正社員と同程度の福利厚生を受けられる」などのメリットがある一方、「正社員と比較して解雇されやすいのではないか」との誤解もあるようです。

今回は、限定正社員制度のメリットおよびデメリットをご紹介します。

●限定正社員制度が生まれた背景

限定正社員制度が生まれた背景

契約社員やアルバイト、パートなどの非正規労働者は年々増え続け、労働者全体に占める割合は現在約35%です。2013年4月の労働契約法改正に伴い、5年を超えて働く非正規労働者の申し出により、企業は無期契約に切り替える必要があります。

無期契約への切り替えを希望する非正規労働者は約2〜3割と言われていますが、希望者全員を正社員として雇用することは人件費の増大につながり、企業の経営を圧迫します

そこで議論された制度が、正社員に代わる受け皿としての「限定正社員」制度です。労働者は雇用の安定が図られ、企業は人的コストを抑制できるなど、限定正社員制度は労働者と企業の双方にメリットがあります。

●限定正社員制度のメリット

限定正社員制度のメリット

限定正社員は、正社員であることに変わりありません。限定正社員の賃金はパートやアルバイトよりも高く、社会保険にも加入できます。

雇用期間は無期雇用が原則であり、例外的な場合は別として、急に解雇されることもありません。非正規社員と比較した場合、非常に安定した契約形態であると言えます。

限定正社員の「限定」とは、勤務地や職種、労働時間を限定することを意味します。勤務地限定の限定正社員の場合は転勤する必要がない、職種限定の限定正社員の場合は職種転換がない、などの利点があります。

限定正社員制度を非正規社員から正社員へと移行する際の受け皿として活用することも可能です。また優秀な人材を自社に引き留める効果も期待できます。

●限定正社員制度のデメリット

限定正社員制度のデメリット

企業にとって、限定正社員制度はメリットだけではなく、デメリットも存在します。

1つ目のデメリットは、雇い止めができないことです。有期契約の場合、契約満了による雇い止めができました。しかし、有期契約の社員を無期雇用の限定正社員に転換した場合、解雇は容易でありません。

2つ目のデメリットは雇用管理が煩雑になることです。上述したように、限定正社員は勤務地や職種、労働時間について制限があります。正社員と非正規社員に限定正社員が加わることにより、現場や人事担当者の負担が増大する可能性があります。

正社員との待遇面のバランスも悩ましいポイントです。正社員と限定正社員の待遇を全く同じにした場合、正社員のモチベーションを下げてしまいます。一方、正社員と限定正社員の待遇面の差が大きい場合、限定正社員は不満を感じるでしょう。

●限定正社員は解雇しやすいか

「限定正社員は正社員と比較して解雇しやすい」と誤解されていることが少なくないようです。労働契約法16条は「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と定めており、限定正社員も例外ではありません。

したがって、「限定正社員という理由で容易に解雇できる」と結論付けることはできません。企業と労働者の双方が納得できるよう、契約書に解雇相当事由を具体的に明記しておきましょう

おわりに

今回は限定正社員のメリットおよびデメリットをご紹介しました。限定正社員制度を利用することにより、企業は優秀な人材の囲い込み、さらに利益の最大化へとつなげることができます。

正社員との給与や待遇の違いを調整した上、限定正社員制度を運用することが重要です。