広報ってどんな仕事内容なの?
世の中の様々な職種の仕事内容に迫る、お仕事ガイドの第7弾。今回ピックアップするのは、広報の仕事内容について。「広報」という職種自体は聞いたことがあるけど、実際に何をやっているのか分からないという方も多いのではないでしょうか。今回は、前後編でそのすべてをご紹介。まず前編では、広報の定義、具体的な仕事内容を。後編では、キャリアチェンジの方法、どんな人が向いているのかなどをご紹介します。
広報のミッションとは?広告宣伝やIRとは何が違うの?
広報とは何をする人なのか。広報は「PR」とも表現されます。「新商品のPR」「自社をPRしたい」などと使われますが、PRの正しい意味をご存知ですか?
PRとは、”Public Relations”の略。「Public=一般の人々」と「Relations=関係性」をつくる仕事という意味です。つまり、社会と自社をつなぐ役割を担っています。企業はさまざまな活動をしていますが、より円滑に企業活動を遂行するにあたり、自社の活動内容を正しく社会に認識してもらい、認知や印象、つまりブランド力を上げていく必要があります。「●●といえば・・A社だよね」「A社って良い会社だよね」という良いイメージで第一想起されることが理想です。
また、「広告宣伝」と混同される方も多いのではないでしょうか。最終的なミッション(自社のブランド価値を上げること)は同じなので、勘違いしやすいのもうなずけます。広告宣伝の場合、費用をかけて各メディア(TV、新聞、ラジオ、Webなど)の掲載枠を購入して自分たちの情報を発信します。そのため、どんな情報でも正当な対価を支払えば、確実に情報が社会に出ていきます。それに対して、広報はメディアに自社の情報を発信することで、取り上げてもらえるように働きかけます。メディア側は提供された情報に価値を感じて、「取り上げたい」と思って始めて社会に流通させます。そのため、いくら情報を発信しても、取り上げてもらえるのか、また取り上げられた場合、どのように報道がなされるかは各メディア次第です。
混同しやすいもう一つの職種が「IR」です。IRは”Investor Relations”の略。つまり、「Investor=投資家」と「Relations=関係性」をつくる仕事という意味です。そのため、株式市場に上場している企業が、投資家向けに自社の経営情報を発信する役割を担っています。この場合のミッションも、広報や広告宣伝と同様。自社のブランド価値を株式市場で高めていくことです。
広報ってどんな仕事?
では、具体的に日々広報担当者は何をしているのでしょうか。
ひとくちに「広報」と言っても、その仕事の幅は企業によって大きく異なります。大手企業では広報部門が存在して、10名以上在籍しているケースもありますが、中小企業では、広報の専任担当者がいないことも珍しくありません。他にも上場企業では、IR業務と兼務していることも。企業によって、広報への注力度合いは異なりますので、あくまでも一例としてご確認ください。
仕事内容は大きく2つに分けることが出来ます。具体的には「社外広報」と「社内広報」です。
◎「社外広報」について
社外に向けた広報活動としては、大きく4点あります。
>攻めの広報活動その1|プレスリリースの作成
自社のどんな情報が社会に発信できるのかを調べ、”プレスリリース”を作成します。プレスリリースを出すことで、自社の取り組みを社会に伝えることが出来るのです。プレスリリースには「企業経営」「商品・サービス」「調査レポート」「危機対応」などの種類があります。
>攻めの広報活動その2|メディアとのリレーション構築
作成したプレスリリースも届ける先がなければ、日の目を見ることはありません。そのため、日頃から各メディアを確認して情報収集を実施。自社の情報を出したいメディアを選定し、メディア担当者とのネットワークを作ります。先述したプレスリリースも、通常はメールやFAX、場合によっては持ち込みによりメディアの手に渡ります。接点が持てたメディア担当者には定期的な連絡を。それによって、そのメディアではどんな情報が必要とされているのかを知り、適切なコミュニケーションを取ることが出来るのです。
>守りの広報活動その1|取材対応
特に新進気鋭の注目ベンチャーや超大手のナショナルカンパニーで、中心となる業務です。こちらから情報を発信していなくても、メディア側から「取り上げたい」という問い合わせが頻繁にくることも。もちろん自社が発信したプレスリリースを見て、取材したいという依頼が来ることもあります。取材対応はスピードが命。各種問い合わせへの迅速な対応が求められます。
>守りの広報活動その2|危機管理対応
情報漏洩や不祥事などのブランドを毀損させるような緊急事態へどう対応するかも重要な任務です。「危機管理広報」とも呼ばれ、有事の対応1つでブランド価値への影響の大小が決まります。
◎「社内広報」について
実は、自社の情報を発信する際に、社外だけでなく社内にも向けることが重要です。目的はさまざまですが、代表的な例は下記のようなもの。
・社員の広報への意識を上げる
・自社から発信できる情報を獲得する
・社会で起きている状況を共有する
・企業としての一体感を生み出す
現在はSNSも定着し、個人が発信する情報の影響力が上がっています。そこで、社員一丸となって情報発信することで認知を上げていく。社員一人ひとりのコンプライアンスへの意識を啓蒙することで不用意な炎上によるブランド低下を防ぐなどが重要です。またメディア側では何が注目されているのかを共有することで、自社の活動と社会との乖離が起きないようにしていきます。社内広報の代表的なツールとしては、社内報の配布や社内イベントの実施などがあげられます。
前編は、ここまで。いかがでしょうか。広報と言っても、その仕事の範囲は企業によって様々。広報への転職をお考えの方は、企業ごとにどこまでの業務が求められているのかをきちんと確認しましょう。